事務局長挨拶CONCEPT

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CEO

 関東医真菌懇話会は、真菌の名の付くすべての疾患について様々な分野を背景に持つ基礎医学系及び臨床系の研究者が忌憚のない意見を交換する場として、世紀を越えて引き継がれてきました。「 医真菌 」に対する興味や「 謎 」を解明したい心意気は研究者諸氏の中で未だ熱く燃えており、今日までこの懇話会を継続・発展させた原動力となっています。近年、遺伝子学的手法が浸透したことや新しい抗真菌剤が上梓されたことなどにより、この会が設立された40年前と比べると議論の内容が大きく様変わりした感があります。
 本懇話会の特徴は、会場を同じくして「真菌」というキーワードの下、基礎領域から、皮膚科、内科、外科、救急医療等、広い分野の真菌に関わる話題が提供され、活発に議論されているということです。1日にして真菌症に関するあらゆる知見をアップデートできるという本懇話会のユニークな特色は、会の英名:Medical Mycology Up date Tokyoに的確に反映されています。
 ここで本懇話会を構成する研究領域について簡単に触れてみたいと思います。基礎領域には、免疫学、菌学・真菌学、医真菌学、そして病理学のような診断・臨床医学に近い分野が含まれています。この他にも発生動向調査を中心とした疫学やモニタリング等の社会医学系の研究も時として議論されています。
 一方、皮膚科学は日本の真菌学の根幹を成す学体系の一つであり、今日でも多くの皮膚科医が参加しています。また、内科領域と一口に申しても、呼吸器領域に関わる深在性真菌症と血液疾患を背景にした症例では、病態が大きく異なります。深在性真菌症の臨床一つを取り上げても、様々な領域の専門家から、貴重な意見を得ることが可能です。その他、外科領域における酵母の全身感染症を主体としたもの、あるいは輸入感染症や、最近の新興再興感染症としての真菌症の話題等、例年活発な議論と興味深い報告がなされています。さらに近年では、口腔外科や耳鼻科領域の真菌症についてもセミナーやシンポジウムが企画されるようになり、より一層の研究領域の拡大が期待されています。
 このように、関東医真菌懇話会は、講演者と聴講者との距離が近く、医真菌研究に携わる仲間の議論の場として、多くの若手研究者を育ててきました。また、若手研究者が医真菌学の重鎮の貴重な意見をこだわりなく吸収できる場でもあり続けています。
 小職を拝命して5年が経った今、本会に育ててもらった世代として、先輩諸氏や同僚に感謝するとともに、本会がより一層発展するよう、尽力する意を新たに致します。
 皆さまの忌憚のないご意見をお待ちしております。

2018年8月
関東医真菌懇話会事務局長
澁 谷 和 俊


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