大会長挨拶

グローバル時代の渡航医学~安心と安全のために

president 第20回日本渡航医学会学術集会
大会長 中野貴司(川崎医科大学小児科学 教授)

このたび、瀬戸内の地 岡山県倉敷市において、第20回日本渡航医学会学術集会を2016年7月23日(土)~24日(日)に開催いたします。伝統ある本学術集会の第20回という記念すべき節目の大会を担当させていただけることを大変光栄に存じます。

思えば自分が初めて「渡航医学」に触れたのは、30年ほど前にガーナ共和国 野口記念医学研究所プロジェクト(JICA)に2年間の予定で派遣された時でした。生後7か月の長女を帯同して家族3人での海外滞在でしたが、航空機内で哺乳はどうするのか、泣き止まなかったらどうしよう・・・の初歩的な疑問から、ガーナではどのような疾病にかかりやすいのか、その対処策やワクチンは・・・まで、卒後3年の小児科医としては学ばなければならないことが多く、私にとって渡航医学の原点となりました。

今やグローバル時代が到来し、国境を越えて移動する人の数は爆発的に増加しました。その目的は業務渡航・観光・留学など様々で、年齢層は乳幼児から高齢者まで幅広く、基礎疾患や定期投薬のある渡航者も増えています。また、かつては日本から海外に出かける者が渡航医学の主な対象でしたが、インバウンド(inbound)すなわち海外からの来訪者も大きな比重を占めるようになりました。2020年には東京オリンピックも控えています。すなわち、渡航先や目的によって様々な「旅」がありますが、多様な観点から「安心と安全」の確保をお手伝いすることが本学会の責務と考え、第20回学術集会のテーマを設定いたしました。

これまでの学術集会と同様、様々な職種、色々な立場の参加者にお越しいただき、活発な発表と議論の機会としていただければ幸いです。会場となる倉敷市芸文館はJR倉敷駅から徒歩15分の距離にあり、大原美術館などで知られる倉敷美観地区へは歩いて数分です。近隣には岡山後楽園・瀬戸大橋・吉備津神社・備中国分寺などの景勝地もあり、日本渡航医学会学術集会に相応しい会場と存じます。また、学術集会が開催される7月は、名産の桃やブドウが最も美味しい季節です。多くの皆様方のご参加をお待ち申し上げております。