会長挨拶
第9回日本婦人科ロボット手術学会
会長 京 哲
(島根大学医学部 産科婦人科学)
会長 京 哲
(島根大学医学部 産科婦人科学)
ロボット手術が婦人科の保険収載となり、早3年が経過することになりますが、この間、ロボット支援仙骨腟固定術が新たに保険適応となったのを始め、ロボット支援手術は婦人科の領域で着実に根を下ろし、定着し始めています。
もともとロボット手術は腹腔鏡に比べ簡単というキャッチフレーズから始まりました。特に腹腔鏡で初学者の鬼門である縫合手技は、ロボット手術ではさして話題にも上りませんし、いきなりやってもできてしまうのがロボット手術の特性と言えます。しかし、保険収載されたことで症例数が積み重なると、むしろ色々なことに気を遣い、肉体的には楽であるが、精神的には疲れるという声も聞かれます。さらにポート配置やインストゥルメントの選択、セッティングなどを含め、未だに手探り状態のことが多く、様々な予期せぬ合併症も出てくる時期です。そうなると、コストはかかる、精神的には疲れる、合併症も気になる、というデメリットがある一方で、メリットは何かという点についてはまだまだ議論が深まっていないのが現状です。
現時点で手にしている多関節機能、手ぶれ防止などの素晴らしいテクノロジーは、具体的にどのようなメリットとして手術に落とし込まれているのでしょうか? それは明確に手術成績に現れているのでしょうか? このように突き詰めると、結局、腹腔鏡手術に比べ、どこが優れているのか?という命題に帰結すると思われます。そこで本学術集会では「ロボット手術の強みを活かす」と言うテーマでロボット手術の利点を大いに語ってもらおうと企画しています。
すでにお知らせしているように、新型コロナウイルスの蔓延を考慮し、今回はWeb開催となります。学会の折に、出雲大社、足立美術館、日御碕、世界遺産石見銀山など島根を満喫していただくつもりでおりましたので、大変残念です。動画が中心となる手術学会でのWeb開催は、動画の再現性という点で難しい問題を抱えますが、ストリーミング技術を用いて可能な限り対処したいと思います。シンポジウムは「ロボット手術の強みを活かす」というテーマで、活発なdiscussionをお願いしたく、Live配信をさせていただきました。また共催セミナーは全てLive(+On demand)となります。On demandでは理事長講演、会長講演、特別講演、教育講演の他、ロボット手術に関する医療安全講習も企画致しましたので、ぜひご視聴いただきたいと思います。
本学術集会が、我が国における婦人科ロボット手術のさらなる発展と、手術学会におけるWeb配信の在り方に一石を投じ、実りのある学会をなるよう、ご参加の先生方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。