第59回日本鼻科学会総会・学術講演会

会長挨拶

第59回日本鼻科学会総会・学術講演会
会長:池田 勝久
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座

 この度、第59回日本鼻科学会総会・学術講演会の会長を拝命した順天堂大学の池田勝久です。春名眞一理事長を初めてとして理事会、役員の先生方のご承認を頂き、誠に光栄に存じます。新型コロナ禍の緊急事態となり、当初予定していた国際シンポジウムとの共同開催が困難な状況になりました。不測の事態と雖も、伝統ある本学会が開催されない年が生じることは耐え難い出来事です。鼻科学会の古参メンバーの中で未だ会長になっていないこともあり、春名理事長の温情あるご指名を受けて、今回の会長にご推挙頂いた次第です。これまで受けた鼻科学会のご恩に報いるため、全力を挙げて学術講演会の運営に努める所存です。会期は2020年10月10日(土)~11日(日)の2日間で、会場は順天堂大学A棟、センチュリータワー、10号館(東京都文京区本郷)を使用します。

 さて、コロナ禍の結果、様々な生活様式の変貌を余儀なくされてきております。特に、テレワーク、リモートワーク、Web会議、オンライン診療などが導入され、コロナ後の「ニューノーマル」と形容されております。実際にWeb会議を行うと様々な利便性に気付かされ、学術講演会もライブのオンラインを応用することで新しい可能性が開くと思い付きました。しかし、収録された映像のオンデマンド単独では魅力が生まれません。オンラインの利点としては、会場費の削減や時間の有効活用、集客能力の無制約、遠方からの簡便な参加などがあります。一方で、バーチャル空間であるため、通常の学会会場での緊迫感は臨みにくいように思われます。しかしながら、コロナが終息してもテレワークやWeb会議と同様に、学術講演会のライブ・オンライン開催は今後の学会運営の主流になっていく予感が致します。

 以上を踏まえて、本学術講演会のテーマを「ニューノーマルの鼻科学:Rhinology in the New Normal」とし、スローガンを「何時でも何処でも誰でも気軽に参加:ハイブリッド学会」とさせて頂きます。学術講演会運営の骨子を以下とさせて頂きます。

①企画演題は従来型での開催とオンラインで同時発信
②全てオンラインでの一般演題(口演のみでポスターなし)
③オンライン会員懇親会
④コロナ禍の悪化時は全てオンライン開催
⑤参加費:10,000円(オンライン参加のみ:8,000円)原則全てオンライン決済

 オンラインでの一般口演を盛り上げるため、prizeを設けることにしました。一般口演を①基礎研究、②臨床研究、③症例報告に分け、ダイヤモンド賞1題(副賞10万円)、プラチナ賞1題(副賞5万円)、ゴールド賞1題(副賞4万円)、シルバー賞1題(副賞3万円)、ブロンズ賞3題(副賞各2万円)、パール賞3題(副賞各1万円)です。聴衆の採点で決定し、最終日のオンライン会員懇親会で発表します。発表時に懇親会不参加の場合は受賞取り消しで権利は次の方に移行します。ブロンズ賞とパール賞は基礎研究、臨床研究、症例報告でそれぞれ1名ずつ選出とします。

 是非、会員皆様のご尽力でコロナ禍のピンチをチャンスに変えるべくご協力頂くようにお願い申し上げます。多くの先生方の演題登録とご参加を祈念しております。

 4月に春名眞一理事長から会長の打診を伝えられましたが、正式に内諾された5月中旬以降に具体的な企画演題の立案に取り掛かり、多くの役員と会員の先生方のご協力で何とか6月下旬には企画演題の構成が叶うことになりました。3会場での現地開催は、特別講演1題、教育講演2題、シンポジウム6題、パネルディスカッション4題、ミニシンポジウム・パネルディスカッション4題、共通講習3題、Meet the experts3題、鼻科学会賞記念講演、国際化プログラム、鼻腔生理学フォーラム、会長講演に加えてモーニング・ランチョン・イブニングセミナーです。図らずもコロナ禍で現地にご参集できない場合はオンラインで参加して頂くことになります。企画演題の選択の基準として、以下としました。

Up-to-dateな基礎ならびに臨床の話題:「嗅覚障害の新知見」、「バイオ製剤のbench-to-bedside」、「若手による鼻科学の臨床と研究の架け橋」
鼻科診療で避けて通れない難題・難問:「内視鏡下前頭蓋底手術の術前プランニング」、「上気道の難治性血管炎の臨床像と病態」、「鼻副鼻腔進行扁平上皮癌の治療戦略」、「小児の鼻科手術」
コロナ禍で発生した新しい話題:「鼻科のオンライン診療」、「コロナ禍の鼻科診療」
著名人・話題性のある人物:天野 篤氏(上皇様の執刀医)、津川友介氏(世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事)、豊田剛一郎氏(メドレー社代表取締役医師)、江藤 愛様(TBSアナウンサー・オンライン会員懇親会司会)
Physician scientistとして必須な学会発表と論文作成の技術:教育講演「あなたのプレゼン誰も聞いてませんよ!鼻科編」、国際化プログラム「英語論文の書き方ワークショップ」
定番しかし誰しもが聴きたくなる話題:「アレルギー性鼻炎のEBM:抗原回避、プロバイオティクス」、「鼻科学における睡眠」、「ESS合併症の対応・予知・予防」、「舌下免疫療法」、「副鼻腔炎のEBM:鼻洗浄、ネブライザー」
女性医師の登用:井下綾子、上羽瑠美、岡 愛子、小笠原徳子、奥谷文乃、荻野枝里子、川島佳代子、木村百合香、小林一女、東海林 史、本間あや、森 恵莉(50音順、敬称略)

 企画演題のシンポジウムとパネルディスカッションに関してはそれぞれの開催形式の原点に戻って、内容と進行形式を遵守して頂くことを依頼しております。つまり、①シンポジウムは一つの決めたテーマを議論し、第1段階として基調講演を行う。参加した各シンポジストが一人ずつテーマについて発表する。第2段階目に質疑応答を行う。登壇者同士だけでなく聴衆からも質問を投げかけることができます。②パネルディスカッションは、一つのテーマについてさまざまな意見をもった演者が会場に集い、原則司会者から質問を投げかけるかたちで進行する。一人ずつ発表を終えたのちに討論に進む。討論するためパネラー同士の質疑応答をふまえ、まとめ役である司会者が共通点や新たな問題点などを明確にする。

 現地開催とオンライン開催のハイブリッドで学術講演会を司会、演者、聴衆の先生方が一体となって盛り上げて頂くようにお願い申し上げます。