3rd International Congress of Bioimmunotherapy of Cancer

会長挨拶

3rd International Congress of Bioimmunotherapy of Cancer
会長

角田 卓也

(昭和大学 医学部内科学講座 腫瘍内科学部門
主任教授 腫瘍センター長)

 近年、がん薬物療法は大きく変化してきております。がん免疫療法はエビデンスを積み重ね、確立した新規治療法としてがん治療の臨床現場で重要な役割を果たしています。特に、免疫チェックポイント阻害剤は多くのがん種で臨床使用が承認されており、その臨床的有用性が次々と証明されつつあります。がん免疫療法は、カプランマイヤー曲線における生存曲線の特徴的な形状より “カンガルーテール現象”と呼ばれ、3年時点で生存していれば10年後も生存しているということが分かってきました。これは、「がんで亡くならない患者さんが存在する」、すなわち完治する、ということを示しております。がん免疫療法によってがん治療のパラダイムシフトが起きているといって過言ではありません。我々人類は、ついに、がんが「死にいたる病」から高血圧や糖尿病の様な「慢性疾患」になる道筋を見つけたといえます。

 現時点で15から20%程度ですが、今後、どのようにしてこの“テール”をあげていくのかが今後の大きな課題です。より多くの患者さんにがん免疫療法の有用性を享受できるようにするため、すなわち、効果増強のための併用療法はどうするのか、さらに効果がある患者さんを予知する予測マーカーを探索することも重要です。一方、抗がん剤と比較して頻度は少ないものの特異的な有害事象(免疫関連有害事象)の克服も大きな課題です。

 この国際学会では、世界的に著名ながん免疫療法に精通した医師、研究者を一同に集まっていただき、今後のがん治療におけるがん免疫療法の世界的な最先端の情報について時間を十分に取り、しっかり議論を重ねていく形式を取りたいと考えております。一般の学会ではないこの手法で、有意義な実りのある学会とします。